その漆黒のかたまりの前から
しばし、離れられなくなった。
重く、大きいエネルギーのかたまり。
ぐるぐる回っていろいろな角度から見てみる。
様々な表情をしている
石なのに、軽やかで、つややかで
うつくしい、と思った。
完全な直線じゃない、
丸みをおびて、柔らかに光る。


学校の帰りに、
東京都現代美術館へ行った。

イサムノグチ

  • 彫刻から空間デザインへ〜その無限の想像力-

http://www.ntv.co.jp/isamu/japanese/index.html

早く行かなきゃ行かなきゃと思っていたら
もうすぐ終わってしまうことに気付き、
急いで行ってきました。
今週の日曜日までだから、平日だけど結構混んでいて、
混んでいる美術館が大嫌いな私は
あーなんで1か月前にこなかったんだろう、
あーもう帰りたいなーと入るなり思ってしまった。
子供とか泣いてるし、あー気が散る。
疲れがピークだったせいもあり、ほんとさーっと見て
帰ろうと思っていた。


だけど


三つ目くらいの部屋で、照明が落ちていて
スポットライトで彫刻が照らし出されていた。
そのあたりから、徐々に作品に吸い込まれていく。


エナジーヴォイド


その漆黒の輪は、そのように名付けられている。
今回の展示会のチラシの写真も牟礼の庭園美術館
エナジーヴォイドの写真だった。

何時間でも見つめていたい、
そう思わせるこの石の重さ、なんなんだろう。
本当に何か強いエネルギーが出ているようだ。
それはそれは美しい曲線。
もし
山の中を何時間も何時間も歩かされて
ふと、目の前にエナジーヴォイドが出現し、
「これが神です」
などと言われたらうっかり信じてしまいそうだ。
それくらい絶対的なもの、
人の手によって作り出された
美しさの、塊。


巨大な石
メビウスの輪みたい。
私が今すごく疲れているせいなのか
石に吸い寄せられる。
石に触れてみたい
抱きついてみたい
ひんやりとした質感をこの肌で感じてみたい
そんな魔力を持った石。


ひどく疲れていたけれど、
この作品が見れて本当に良かったと思った。
絶対来年の九月にはモエレ沼へ行こうと心に誓う。


家に帰ったら急に
からっぽにしたくなって
おもむろに部屋の片づけをはじめる。
最近疲れることが多いけれど、
その大半が学校以外のことで
時々、私は本当に学生なのか不安になる。
やはり勉強が嫌いなのだから
大学なんて入らなくても良かったかもしれないな。
ま、時間を買ったと思えばいいのだろうか。
就職活動は、まだ、何も手を付けていない。
明日スーツを買う。