たかいとこから


ものの見え方というものは一様ではなくて
目の前を飛ばしているスポーツカーも
視点を変えればめちゃめちゃゆっくりに見えたりもする。


高校生のとき、5階の教室からは
遥か遠くにちらっと首都高が見えた。
そこを走る車はめちゃめちゃノロく見えて、
まるでチョロQのようだった。
遥か遠くでのろのろと走る車をぼーっと眺める事が
すごく好きだったし
今でも高いところから下を見下ろして
ものすごくのろのろと走る車を見るのが好きだ。


なんで遠くのものがゆっくりに見えるのかという
物理的原理は今でもよくわからないけど
上から見ていると、自分という人間の小ささを痛感する。
世の中ってのは本当に大きくて
もう、ありとあらゆる建物やら道やら木やらで街は埋め尽くされ
大自然の中で自然の偉大さを感じるように都会では
先人が作り上げてきたものの圧倒的な量に途方に暮れてしまう。
自分がのうのうと行きてる世界は、あたりまえだけど
自分が作ったものじゃなくて、
驚異的にインフラの整っている東京なんて
細かい事を考えだしたら発狂しそうになる。


今日は都庁から地上を見下ろす。
人や車は本当に小さく見える。
広い範囲を見ている分、距離感というものがよくわからないので
地面を走る車は本当にゆっくりに見える。
地上45階から交通事故の様子を眺めたら
跳ねられた人はゆっくりと飛んでいくのだろうか。





地上に降りると何事もなかったかのように
いつも通りの日常が動いていた。
目の前のスポーツカーはやっぱり速く見えるけど
それだけが真実じゃない事を
忙しい日々の中でも忘れないようにしようと思った。