桃源郷


設備の見学会で、汐留にある
松下電工ショールームに行ってきた。
家具から電化製品から壁紙から床材まで
全て松下でトータルコーディネート。
住い方の提案、といえば聞こえはいいけど
こんなの理想でしかないんじゃないかなと思ってしまった。
なんか、こういうところへ来ると
金さえあれば何でも手に入るんですよ、って
見せつけられている気がしてしまう。


私は、家っていうのは別に狭くても良くて、
自分の好きな家具とか小物とか照明とか
ひとつひとつ集めて家づくりをしていきたいと思うから
全部作り付け家具で統一されてもあまりぐっとこない。
あれだな、あんまり広い家に住んだことがないからだろうな、
広い家に住んでいたら、トータルコーディネートって
すごく便利なんだろうな。


家づくりというものを考えた時、もちろん雑誌や本で
今まで見てきたイメージというのも関係してくるとは思うけど
基本的には自分の生まれ育った環境がベースに存在して
それをもとに考えてしまうものなのではないかと思う。
私の考える家というものの概念は私が生まれ育った
3DKという公団のダンチの間取りが基礎となっているので
寝室とか子供部屋とかリビングといった概念が存在しない。
だから今までの設計の課題でも、寝室とか子供部屋とかを設定することに
何となく違和感を感じてしまっていたんだと思う。
家なんて、そこに住む人のもので、好きなように部屋を割り振ればいいし
そんなの建築家が勝手に決めることではない、というのが私の考え方。
住み手にそこらへんを丸投げしちゃう。


一生のうちに自分の家を持てない人もいるわけで、
がんばって30年ローンで3DKのマンションがやっとな人もいるわけで
建築家の仕事って、一部の豊かな人たちのためにあるような気がして
そんなところが私が建築について好きになれなかった原因の一つと
なっているような気がいたします。


余談ですが、前に金持ちA様、貧乏B様っていう番組*1
建築家を取り上げていた時に、A様とB様を分けた
人生のターニングポイントは、生まれた環境だ
って言われて、ものすごくビビった。
A様はお金持ちの家に生まれたので、必然的に良いものを小さい頃からたくさん
見る機会に恵まれたから、建築家として成功できたのです、だって。
貧乏がなる職業じゃあないのか、ああそうですか、
そいつは失礼しました、さようなら、って思った。笑
でも確かにいいものをたくさん見ておいた方がいいってことは分かるけど。
貧乏は建築家として成功しないなんて、たとえそれが事実であっても
メディアで堂々と言ってのけることないじゃないか!って思った。
ちょっとは夢、見させて下さいよ。笑


何が言いたいのかなんだか良く分からなくなって参りましたが*2
ショールームは現代の桃源郷であり、
私はショールームのお姉さんにはなりたくないなと思ったのでありました。

*1:ある職業に注目して、その世界で成功してる人(A様)とそうでもない人(B様)を分けたターニングポイントは
いったい人生のどこにあったのかということを検証する番組

*2:そしてアルコールも回って参りましたが