砂丘


旅の目的の、鳥取砂丘
ようやくたどり着きました。
鳥取駅から、バスで20分、
日本海に面した、砂の丘。
バスに乗っていると、だんだんと砂丘が見えてくる。
テンションが、やたらあがってくる。





平日の月曜日の朝を選んだのも
人が少ないのではないかという読みから。
予想が的中し、観光客もまばらな様子。



ここは日本か?
一歩足を踏み入れた瞬間に、現実からトリップ。
日本海から吹き荒れるものすごい風、
耳元をかすめるごぉぉという音、
青山真治監督の、エリエリレマサバクタニのオープニングを思い出した。


とりあえず皆が目指している海の方へ歩き出す。
一面砂だけの世界を見つめていると、だんだん視界が変な感じになってきて、
どこを見てもきらきらとしたものが残像として残るようになってきた。
どこまでも同じ砂の色が広がっているので、砂丘の凹凸もだんだんよくわからなくなってくる。
ひとまずずぼずぼと砂に足をとられながらも、日本海を目指す。




海が見えてくると、今度は潮風とともに、波の音が耳に響く。
なかなか波が高くて、ざぱんざっぱんと砂浜に波が打ちつけられている。
より海に近づきたくて、波打ち際まで降りてみる。



砂の模様と同様に、砂に描かれる波の模様も
描かれては消えていき、二度と同じ模様が砂に残されることはない。
儚く、永久に残せないからそう思うだけかもしれないけど
一瞬で消えてしまう波や砂の模様が、ものすごくうつくしく感じられる。
いつか消えてしまう一瞬のものということでは、そのスパンは違うものの
人生と同じだから、美しく感じられるのだろうか。


多くの観光客は30分くらいで砂丘をあとにしなければならないようで、
浜辺まで降りてくる人はほとんどいない、
というか誰もいない。
砂丘は、ひとりになりたい旅を本当に満喫できる場所だと、改めて思った。
ひとりでうみをみつめながら
ぼーーーーーーーーーーーーーーーーーー
っとしました。で、日々のことを考えたり考えなかったり。
写真を撮ったり撮らなかったり。
絶対にここで味わった感動は記録に残しても意味がなくて、
体感しないとわからないとは思うものの、
やはり写真に記録したいという想いに駆られて
ひたすらデジカメとロモでパチパチ撮る。


あまりに感動して、もし今ここで大地震に遭遇して、
津波によって海の藻屑と化したとしても
私は後悔しないと思った。そんな絶対的なものだった。
ひとりで砂丘に来てて、ぼーっと何時間も海を見つめている変な女がいたら
あいつさては入水するんじゃ?と疑われてもおかしくないよね、
絶対危ない女だと思われただろうな。知るかそんなこと。




また海からはなれると、静かな砂の世界。
場所によるのかもしれないけど、見渡す限り360°が砂の世界で
本当に誰もいない世界。
砂の静寂と、時折吹く風によってさらさらと砂の模様が変化していく音しか聴こえない。
風が思いのほか冷たくて、でも、砂の上は暖かかったので、
誰もいないのをいいことに、寝そべる。
温かい砂の上で、からっぽになる。
いろいろあるけど、自分なんてたいしたことない。
何か迷ったらまた、空っぽにすればいい。



4時間くらいひとりで砂丘をさまよい、
ようやく鳥取を後にする。