アルファベットの旅


ABCDEFG
HIJKLMN
OPQRSTU
VWXYZ..



今回の旅の目的は、
弘前にある、奈良美智grafA to Z を観ること。
奈良美智grafの作品は
横浜のトリエンナーレでも観たけれど
今回のは吉井酒造煉瓦倉庫いっぱいに作られた
AからZの小屋、小屋、小屋。


煉瓦倉庫のなかは複雑に小屋が重なり合って
無限、ちょっとしたコスモス。
もともとの空間自体ももちろん広いのだけど
そこに小屋が重なり合うことで、多数の面が出現し、
ただの大空間とは全然違う深みを持った
異次元に広がっていそうな無限の可能性を秘めた空間となっていた。


膨大な作品、
全部見てまわるだけでも大変、
とにかくざざっとAからZへの旅。


奈良さんの作品はそんなに大好きというわけでもない。
だけど、すごく印象的な女の子、
目を凝らしてもいつまでもぼんやりとした印象の
ぼんやりとした女の子がいっぱい。


真っ暗な小屋、
小さな絵がいっぱいの部屋、
何だろ、見世物小屋の連続みたいな感じで
ちょっとした移動遊園地のような、ワクワク感。
どの部屋に何があったかなんて正確に思い出せないけど
たくさんたくさんこれでもかというほどに広げられた
奈良作品による無限の世界。



2階にも展示があって
2階は1階とはまた全然違う世界が広がっていて、


大海原。


おもわずうそって思ってしまうくらいの
大海原。
もちろんここは倉庫の2階で
当たり前だけど海じゃあないけど
それ以上に広がりを持った
不思議な空間だった。
何度も通路をうろうろして大航海。
アートの海を独り彷徨う。


スケールの狂った世界とか
ちょっと文化祭のインスタでやろうと考えていることの
ものすごく完璧な完成品が並べられていて
また、インスタで何をやりたいのか
よくわかんなくなってきちゃったな。うーん。


ここでしかできないことを存分に、
アートとその表現空間というのは密接な関係を持ち、
ここに来たからこそ抱ける何らかの思いを
わざわざ会場に足を運んだ人に与えてくれる。


青森の空は広くて
これでもかっていうほどに空は青くて
思ったほど、森でもなくて


この澄んだ空気の下で
みんなわざわざ作品を見にやってきてて
ものすごくたくさんのボランティアの支えがあって


愛とか音楽とかアートが世界を変えるなんて
死んでも思わないけど、
そこに集まる人のパワーはすごくて
何かを変える原動力の源となりうるのではないかという
淡い期待を抱かずにはいられなくなる。


青空の下、
平和を噛み締めつつ。