青い絵との再会


今回の旅のもう一つの目的、
青森県立美術館シャガール展
シャガールの巨大な絵、四枚が一同に集結した様子を見れるのは
これが最初で最後的なことをいわれていたような気がしたので。


シャガール
名前は聞いたことがあるけど
有名な作品の名前も何もよく知らない。
だけどなんとなくあったかい絵のイメージ、
写実的ではなく、動物とかなんか愛嬌があって
作品に使われる色づかいは顔が赤かったり青かったりだけど
個人的には好きなタッチの絵。



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遠い記憶の話。


小学校の図工室に
シャガールの絵が掛けてあった。
全体的に青い色で
ユーレイみたいのが飛んでて、
頭が逆さまに付いた人がいて、
うん、
上の方に鳥の絵。
うろ覚えの記憶だったんだけど
なぜかその絵がシャガールであるということだけ知っていて
お化けみたいだし、全体的に青いし、顔色悪いし、
初めは気味が悪かったんだけど
何となく忘れられなかった。


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たぶんその絵の本物があった。
『彼女を巡って』という作品。
全体の構図も、うろ覚えだったけど
青くて、右上に結婚式の衣装みたいなのに包まれた
カップルがユーレイみたいに空飛んでて
左下の人は頭が上下逆さまで
左上に鳥の絵。
きっとこの絵だったと思う。


青く塗りつぶされたその絵は
資料によると亡き妻を想って描かれた一枚ということだったけど
その青はなんとなく暗いわけでもなく
個人的にはすごく好きな青。


遠い記憶がどこまで正確かわからないし
小学校の図工室がどんなんだったかもちゃんと思い出せないのに
ほんとにそこに掛けてあったのがこの絵のコピーなのかは
正確なところわからないんだけど
私の遠い記憶に一番近い絵に遇うことができた。
個人的にはそれだけでけっこう満足。




私は作品を見るときに
解説とか基本的に読まない人間なのだけど、
シャガール展も二人の妻とのエピソードとか
ひとり目の妻が亡くなったときの作品です、とか書いてあるけど、
そういう見方をされることって、アーティスト的にはどうなのかなって思う。
そんな個人的なことをふまえた上で
作品を見ることって何か意味があるのかな。
誰かの価値観でしかなくて、私はアーティストの家庭環境とか
境遇とかどうでもよくって、
目の前の作品が素晴らしければ
それだけで十分だけど。