記憶の断片

最近何もかも中途半端で、駄目人間街道まっしぐらなので
こんな現状を払拭してやろうと一念発起し、
家に帰るとともにものすごい勢いで部屋の片づけをした。
どっさりといらないものが捨てられ、見る見るうちにゴミ袋が
膨らんでいく。
毎回思うのだが、どうやってこんな量のゴミが生まれるのだろうか。


そんなゴミの中、とあるものを発見した。
それは、書きかけの原稿用紙である。
これは、大学生活2周年を記念して刊行されるはずだった文集の
未完の原稿であった....(さわ、本当にごめん!)

何が書いてあるのだろうと、広げてみる。
そこには物語のほんの始まりだけが記されていた。

これは大学生活で忘れることのできない、ある朝の出来事である。
それは大学生活2年目の、秋のことであった...

ここで文豪はペンを置いた。
そして月日は流れ、半年後に再びこの文章を目にすることになるのだが、

心当たりが、ない


ある朝に何があったのか、全く覚えていないのである。
あな、おそろし
しかも「忘れることができない」と豪語しているのに、半年後には見事に忘れている。
いったいどういうことなのだろうか。あまりに辛い記憶で、
私は無意識的に記憶を抹消してしまったのであろうか?
そもそもこの原稿の作者は私なのだろうか?
私以外の誰かが、意図的にこれを書いて、私を困らせようとしているのではないか?
誰が?何のために?
いやまてよ、まさか...
ああ謎は深まるばかりだ、助けてコナン!


って絶対忘れただけだし。にしてもいったい何の話を書く予定だったのだろうか。
半年前の私に会う機会がありましたら、それとなく聞いてみて下さい、
ある、秋の出来事について。