かなしい矛盾


某巨大雇用サイトを運営する会社のトップセミナーに参加。
この会社に行きたいというわけでもないんだけれど、
社長のお話だけでも是非聞いてみたかったので。


想像通り、ものすごくいいお話が聞けた。
ふつうになんとなく町中をうろうろしていても
社長のお話なんてそう簡単に耳にできるものではないので
やっぱり就活ってめちゃめちゃお得だ。
企業は優秀な一人の人材を雇うために、
こんな私のようなカスにもお話を聞かせてくださるのだから。


基本的には、その会社の企業理念についてのお話で、
人間成長とか仕事人間とか恩は返すとか、そんな話。
私は自己も成長でき、会社もこれからまだまだ成長していくであろう
発展途上中の会社で働きたいと思っているので
人間成長をうたっているところには共感できた。
仕事人間ということでも、過労が問題視されている中で
これを堂々と掲げることにもおお!って思ったし、
結局どの会社に入っても日本人だったら基本的に残業したり
休日も仕事したりしてきているのになかなか本音を語らない会社が多い中
仕事のプロを目指してもらう!と宣言しているのがかっこいいと思った。


この会社は脱フリーターを作って社会貢献をしていきたいと言っていて、
社会貢献をしている企業はたくさんあるけれど
社会正義に基づいた社会貢献をしたいと言っていた。
たとえば、フリーペーパーのアルバイト情報誌をたくさん作れば
企業からも、フリーターからも喜んでもらえるかもしれない。
それは社会の役になっているってことだから、社会貢献になるだろう。
でも、その行為を続けていれば、フリーターはいつまでたっても減少しないし
それって社会正義という点から見たらどうなの?という話。
この会社のサイトでは、正社員雇用制度があるアルバイト情報のみを扱い、
社会からフリーターが減少することの手助けをしている。
手っ取り早い収益よりも、もっと先の日本を見ている気がした。


お話が終わって、質疑応答の時間。
思ったほど手が上がらす、だんだんと質問が出尽くしてく。
質問の中でフリーターに対しては社会正義性の高い活動を行っていますが
ニートに対しては何かやらないんですか?というものがあった。
社長の考えとしては、フリーターは働く意志はあるけど職がない人、
その一方ニートはそもそも働く意志がないし、多くの場合、心の病を抱えているので
単純にビジネスと結びつけるのは難しいと語っていた。
ここまではたしかにそうだよなぁ、と共感。
でもこのあとのお話に度肝を抜かれたのは私だけではないのではないでしょうか?


社長の次男が、ニートらしい。


えっ!
一概に原因が分からないから適当なことは言えないけれど、
こんな立派なことを言っている方の息子でもニートになってしまうんだ、
それだけニート率が上がってきているからということも考えられるかもしれないけど
仕事人間たれ!と主張するこの人はまさに仕事人間なのだと思うのだけれど、
もしかするとそれもニートの原因の一つだったりはしないのだろうか...
全然違う理由かもしれないけど、今までのお話の説得力が
がくんと下がったのはまぎれもない事実だ。
本音が聞けたのは個人的にはすごく興味深かったけど、
会社のトップなら、その事実を隠した方がイメージとしてはよかったのかもしれません。
でもそこを隠さないところがこの会社のよいところで、本当の姿なのでしょう。


いろいろ考えちゃった。
会社を覗くということはまさに
社会を覗くということで
大変勉強になりますな。