IN JAPAN


ギイ・ブルダン展をみるついでに
地階でやっていた写真展にも足を運ぶ。
マイケル・ケンナ展「IN JAPAN」


白黒の写真、
まるで絵で線を描いたような、
写真っぽくない素朴な空間が広がっている。
全体的に、好きなトーン。
余白をとって、見る人が余韻に浸れるような写真。


なにせ150点もあるので、途中で少しくたびれてしまった。
でも、最後に彼のインタビューと略歴のVHRを見たら
とっても共感してしまった。


アシスタントは使わずに、彼は一人で写真を撮っている。
昼間でも、露光時間を長くして幻想的な写真にしたりする。
彼は撮影中、ずっとじっと自然と対話しているらしい。
2時間彼が見つめていた風景なのかと思うと、また写真の見方が変わってくる。
私も一人でぼーっとすることが好きなので
だから彼の写真にこんなに引き込まれるんだと思う。

写真はフォトグラファーが創り上げるものではなく
風景とフォトグラファーの共同作業である


写真家が狙った構図で狙い通りの写真を撮るのではなく
その一瞬だからできる奇跡的な一枚があって、
それは彼が自然としっかり向き合っているからこそ
そこに映し出される景色なのだと思う。
彼は目の前に広がる風景がその一瞬だけのものだということを
ほんとうによくわかっている人だと思う。
私が鳥取砂丘で感じたように、
一秒ごとにその風景はどんどんと変化していて、
同じものなんてどこにもないということをふまえた上で
その刹那の美しさを切り取るという作業をしているのだと思う。


彼の写真は、あたかも自分がそこに立っているかのような錯覚を覚えさせる。
でも現実は写真のような2次元の世界ではないから、
きっとそこに立ったら写真とは違う思いを抱くのだと思う。


彼の切り取った風景の現風景をこの目で見てみたいと思った。