くらやみの中、人の素とは


青山の梅窓院というお寺のホールでやっている
DIALOG IN THE DARKという
イベントに参加してきました。


これは簡単に言うと、くらやみ体験ツアー。
8人程度の少人数で、視覚障害のある人に
ガイドをしてもらってくらやみの中を歩き回る。


もちろんただ暗いだけじゃなくて
中にいろいろなものがあって、くらやみのなかで
日常生活を疑似体験する。


障害を理解しよう!
とかいった趣旨で行われているのではなくて、
視覚に頼って生きていては到底感じ得ないことを
純粋に体験することができるもの。


私は去年の秋に参加して、本当に感動して
見えないことで感じることができるものがこんなにたくさんあるなんて!
ってものすごく衝撃を受けました。
あの闇の中で感じたことが、日常生活の中で徐々に薄くなってきて
人はすぐに忘れる生き物だということは知ってはいるものの、
それじゃあやっぱりもったいないし、あの感覚を、あの感動を、
もう一度味わいたくて、再び参加したのです。


また新たな発見がいっぱいあった。
一応たたんでおきます。



今回のメンバーが8人集められたときに
前回参加したときのメンバーがすごく良かった印象があったので
正直ちょっと楽しめるか不安だった。
ものすごく太った男の人とか、
あきらかに秋葉系の空気読めない男の子とか。


くらやみにはいってすぐ、
前回の体験をすっかり忘れていた自分に気づかされた。
ここはまっくらなせかいで、
目の前に誰がいるかもわからない。
声だけの世界では体型なんて全然関係なくて
ものすごい太っていようと問題ではない。
ものすごく太っていることで友達にはならないだろうなと
線引きしている自分ってのは本当に見た目を重視して生きているんだな。
くらやみで前の人にぶつかったりするんだけど
そのめちゃめちゃ太っている人はすごい優しい人で
ぶつかっても「大丈夫だよ」って言ってくれるし
ビジュアルで敬遠してたらきっと
彼の優しさになんて気づかないんだろうな。


そして同様の理由で、くらやみのなかでは
人見知りという性格が意味をなさない。
人からどう思われるかをうかがいながら話をする必要も無いし
そもそも見えないのだから人見知れるはずも無い。


だから極度の人見知りの私が
自分の見た目を気にすることも無く
楽しく素で話をすることができた。


素?


いつも出せない部分が出せただけで
それが素かどうかはわからないけど
とにかくのびのびとした自分、
とりあえずくらやみの中にいたのは
私の知らない私。


くらやみの中で、自分の知らない自分に出会うことができる。
ものすごいイベントだと思う。
3500円ときいて高い、って思う人は多いかもしれないけど
こんな経験できるところはきっとないし
私は全然高いとは思わない。
高いから参加しないんじゃなくて、それは体験してから
自分で値段の妥当性を考えればいいと思う。


ものすごくたくさんの人に体験してもらいたい。
得るものが絶対にあります。