はやしまさこSHOW


大学で、建築みたいなことを学んだ。
実際に、何を学んだのかは思い出せない。
4年生になると、卒業制作か論文かどちらかを選択する。
普通建築系の学部だと、卒論書いたあとに
卒業設計もやるのが一般的みたいなんだけど。
私は迷わず、論文を選んだ。
絶対に制作を選んでいたら、
逃避行して蒸発してたと今でも思う。


今日は、私が絶対に選ぶことができなかった
卒業制作を選択した、勇者たちの発表を観に行った。
初めて一般に公開する、林雅子賞。


林雅子さんは、うちの学部の一期生で、
女性建築家として、輝かしい活躍をされた方。
今年で5回目の林雅子賞、一般公開で選定委員長として
世界的に活躍されている妹島和世氏をお招きした。


妹島和世
通称せじー(うちらしか呼んでないし)


西沢立衛氏とタッグを組んで
SANAAとして数々の国際コンペを撃ち落としてきた
今の日本で一番活躍している女性建築家、
やはりうちの大学の卒業生。


細身で、ヘヴィースモーカーで、
結構キツい感じの方なのかと勝手に思っていた、
だけど実際は非常に良識のある方で、
でも鋭い視点を持った方だった。


卒生の発表を初めてちゃんと見て、
みんなの完成度の高さに、改めて驚かされた。
みんなすごい、
ほんとにすごい。
私はひどくスリムな論文を書くだけで
いっぱいいっぱいでストレス太りしたのに
卒制のみなさんは、図面に模型に、
コンセプトをまとめた論文に
さらにこんなすごいパワポまで作っているなんて...


林雅子賞に最終的に選ばれたのは、
ちょっと意外な作品だった。
でも、海外で数々のコンペを勝ち抜いてきたせじーが
この作品を選んだというのは、すごく納得できる気がした。
まとまりとか完成度とかすごい作品ばかりだったけど
いちばんわくわくした、いちばんワクワクが伝わってきた作品だった。
もちろん本当にどの作品もすばらしかった。
あの、設計の授業が嫌で嫌で仕方のなかった頃のことを
少しだけ思い出した。でもすぐに忘れた。


もっと前から公開にすれば良かったのにな、
今までなんていつ行われているか全く知らなかったし。
1・2年生にも、もっと見せるべきだし
むしろ、1・2年生のときに見たかったと思った。


私が学べなかった、設計の楽しさとかそういうものを
もっとこの学校で教えてほしいなと思った。
やっぱり助手の存在が、
学校嫌いを増やしているような気がしてならない。


なにはともあれ、この場で発表していた全員
とてつもなく格好良かった。
なんの努力もしないまま卒業する自分が
情けないけど、制作にしなくてよかったな、
本当に良かったな。
みんなおつかれさまでした。